石井[以下I] 普段の生活で取り入れている、サステナブルな行動は何ですか?
吉川[以下Y]
たくさんあります。例えば、ペットボトルの飲料水を買わなくても良いように、家の水道の大元に活水器をつけて、水道水をそのまま飲めるようにしています。活水器をつけると、乱れた水の結晶を元通りに整え、水そのものを元気にしてくれるから、トイレを流すときも“ちょっといいことした気分”を味わえるの。8歳の娘は、シャンプーを使わずお湯だけで洗う“湯シャン”にしていて、ボディソープも歯磨き粉も使いません。子どものうちは、きれいな水さえあればそれだけで十分。あと、スーパーへ買い物に行くときは必ず大きいかごバッグを持っていき、ビニール袋は買わないようにしていたり、お店でコーヒーをテイクアウトするときも、持参したマイボトルに入れてもらったり……。
I すばらしいです。サステナビリティに対する意識の高さは、ひなのさんご自身の育った環境が影響しているのでしょうか?
Y 全然! 幼少期から20代前半までは、猛毒に囲まれて暮らしていました。笑 添加物で味つけされたジャンクフードを食べたり、甘いジュースに舌が慣れてしまって、25歳くらいまでは水が苦手で飲めなかったの。そんな不健康な食生活を送っていた一方で、20代半ばのときに愛犬と暮らしはじめたのですが、市販のドッグフードではなく手作りのごはんをあげていたんです。肉や魚をグツグツと煮たり、新鮮な野菜やフルーツを食べさせたり。今思うと、その頃から自分では気付かないうちに“カラダに良いもの”を意識し始めていたのかもしれません。本格的に生活が変わりはじめたのは、やっぱり娘を妊娠して、食育について考えるようになってからですね。
I 先日、娘さんと一緒にサンセットを見にいったとき、「学校では何をするの? どんな授業が楽しい?」と聞いたら「お友達と地球のことを話したりするよ。 地球のことを考えているときがいちばん好き!」という答えが返ってきて感動しました。 「なんて素晴らしい教育なんだろう!」って。
Y 娘の通う学校では、にわとりも、大きなリクガメも、うさぎもみ〜んな放し飼い! ガーデニングクラスがあるので、自宅の庭で野菜を育てるときも、娘が分からないことをいろいろ教えてくれるの。私は勉強よりも、人として生きていくために大切なことを子どものうちに経験して欲しい。勉強はいずれしたくなったときにすればいいと思っていて。笑 くじらのお腹からプラスチックが大量に出てきたこと、人間の捨てたストローを飲んでウミガメが苦しんでいること、6種類いるウミガメのほとんどが絶滅危惧にあることなど、今地球に起きている問題を、娘はたくさん知っています。そして、そこに対して怒りという感情がまったくなく、誰のせいにもしない。「みんなで楽しく考えていくしかないんじゃない?」と冷静に話す娘を見ていると、「彼女たちの世代こそが、地球の未来を守ってくれるんじゃないか」そう思います。子どもにいまの現実を教えるのはすごくハードなことだけど、それをきちんと理解したうえで考え、行動を選択して生きていかなくてはいけない。だからいま世界で起きていることを少しずつ子どもたちに教えています。
I 22世紀の地球に住む人々に向けて伝えたいことはありますか?
Y 最近すごく思うんです。「この世の中から環境破壊がなくなったら、どんなに幸せなことだろう!」って。そのためには、今起きている環境問題を知ることが何よりも大事! ここ数年で、ミツバチが世界中で減少しています。「もしこの地球上からハチが消えたなら、人類は4年しか生きられない」という言葉にもあるように、作物の受粉の多くを担うハチがいないと人は暮らしていけないと言われています。なので、私たちはミツバチが暮らしやすい環境を整えないといけませんよね。そんな風にして、今まで以上に環境を大切にしたり、そのために長く使えるモノを選んだり、地球が抱える問題が、みんなの意識を変えるきっかけにつながればいいなと思います。