29 Sep. 2020

29 Sep. 2020

JAPAN 47ARTISTS × CASA FLINE PROJECT #1

陶芸家・竹村良訓 | 器

from_千葉県

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47都道府県の職人技術で未来へつなぐ
ものづくりを
日本全国の衣食住、様々なプロダクトをつくりだす職人たちとカーサフラインのコラボレートプロジェクトがスタート。長きに渡り受け継がれる地域の伝統産業や技術を、カーサフラインのフィルターを通して発信していくーー。第一回目のコラボレーションのお相手は、陶芸家 竹村良訓さん。混ざり合う釉薬の鮮やかな色合いが特徴的な竹村さんの作品とは一転、今回は、これまでとはひと味もふた味も違う新たな魅力をみせてくれた。

生産背景にこだわり、地球にも人にも優しいサステナブルなものづくりを目指すカーサフライン。2020年秋冬コレクションのテーマ「Gravitational wave(重力波)」をイメージソースに落とし込んだ作品は、黒と白を基調にしたシックな配色、不揃いなフォルムやひび割れた表面から、波動の不規則性や地球の生命を連想させる器たち。私たちが知る、彩り豊かな竹村さんの作品とは印象が大きく異なる。

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「今回はこれまでとはまったく技法が違います。まず、釉薬を使っていません。『脈々と生命が続いていくような温もりがありながら、シックなものを作りたい』という言葉とともに、秋冬のビジュアルイメージを見せてもらったとき、『大理石みたいなマーブルっぽい色にしよう。カラフルなものは違うな』と感じ、粘土の色そのものを活かすことにしました。また、いつもはろくろを使い、回転させながら形を整えていくのですが、今回はタタラ技法、手びねりを中心に、ほんの少しろくろを使っただけの複合技のようなもの。思いついたアイデアを取り入れながら作業を進めていった感じなので、新しい発見もあって面白かったです」

アパレルやインテリアなど、ジャンル問わず数多くのブランドやショップとのコラボレーション作品を手がける。コラボレーションを重ねるたびに、竹村さんの引き出しは深みを増し、広がりをみせる。

「いつも相手のイメージをある程度もらったら、あとはアイデアを膨らませながら自由に作らせていただいています。自分の引き出しには限界がありますから、誰かのイメージを借りて、広げていくような感じでしょうか。コラボレーションに関係なく、僕はそもそもスケッチをしません。ろくろを引きながら形をどうするか考えたり、形を見てどんな色を乗せるか決めたり、即興で試しながらのほうが、いろいろなものを作れるので」

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この日訪れたのは、千葉県松戸市にあるアトリエ。無数に並べられた作品は、どれひとつとっても同じものはない。その決め手となるのが色。釉薬の良し悪しが決まる窯出しの瞬間こそ「焼き物の面白いところ」だと話す。

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「焼き物は、焼いてはじめて発色するので、焼く前にいくら考えて色を掛けてもほぼグレー。しかも発色の加減は、窯出しするまでまったく想像がつかないので、予想以上にうまくいくときもあれば、その逆も然り。しかも何度焼いても、一度たりとも同じものはできない。そこが面白いんです」

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もともと理科と数学が好きだった竹村さんは、高校時代、某大学の理工学部へ行くつもりが、美術の先生のすすめにより武蔵野美術大学へと進路を変更。プロダクトデザインに興味があり工芸工業デザイン学科に進んだが、素材そのものに触れるほうが自分に合っているのではないかと、木工と漆芸を専攻。家具作りや漆芸を学びながら、サークルで陶芸に出会った。懐古趣味が高じて、卒業後は東京芸術大学大学院 保存修復学科にて、古陶磁の研究や復元制作に携わる。現在に至るまでの記憶を辿りながら「今していることも、子どもの頃の遊びの延長ですけどね」と笑う。

「大工である父の姿を見ていたせいか、子どもの頃から“何かを作る”遊びが好きでした。例えばガムテープと針金でロボットを作り、『もっとこうしてみよう』とバリエーションをたくさん作ったり。無限に生まれるアイデアを形にすることが楽しかった。今こうして陶芸家として活動しているけれど、僕にとっては子ども時代の遊びと何も変わっていません」

粘土を練り、ろくろを引き、調合した釉薬を掛け、窯で焼き、再び釉薬を掛けるーー。休みはなく毎日アトリエでものづくりに向き合う竹村さん。とはいえ精神的な疲労はなく、やりたいことがありすぎて、もっと時間が欲しいと話す。アトリエで1日を過ごす中で、無限に溢れでてくるアイデアの源となるインプットは、いつ、どこで行っているのだろう。

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「例えば、アトリエの前にある駐車場、電車で見た人のファッション、差し入れでいただいた和菓子、SNSやYouTubeなど、僕にとってのインプットは、日常から受け取ることが多い。和菓子なんて、クローズアップしていくとテクスチャーなんてすごく面白い。『このテクスチャーを陶芸で再現するとしたら、どうやるんだろう?』なんて考えたりして。インプットに時間をかける必要はない。わざわざ遠くへ行かなくても、ネタは身の回りにいくらでも転がっていますから」

言葉を選びながら、丁寧に話す竹村さんの周りには、ゆるやかで優しい空気が流れている。今回制作した器からも、その温もりある人柄を感じてもらえるはずだ。

Profile
陶芸家 | 竹村良訓

1980 千葉県に生まれる

1999 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 入学
本科で木工(&漆芸)を専攻する傍ら、サークル活動で陶芸に出会う

2003 同校 卒業

2003 東京芸術大学大学院 保存修復学科(工芸)入学
文化財修復を修め、同時に陶芸学科で古陶磁の研究・復元制作にも努める。在学中に漆芸技法の応用による陶磁器・漆器修復の仕事をはじめる。

2005 同校 修了
以後、展示多数

2008 陶芸教室【陶房『橙』】を開く
現在は陶芸作家、陶芸教室経営、修復家として活動中

陶芸家 | 竹村良訓
Profile

1980 千葉県に生まれる

1999 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 入学
本科で木工(&漆芸)を専攻する傍ら、サークル活動で陶芸に出会う

2003 同校 卒業

2003 東京芸術大学大学院 保存修復学科(工芸)入学
文化財修復を修め、同時に陶芸学科で古陶磁の研究・復元制作にも努める。在学中に漆芸技法の応用による陶磁器・漆器修復の仕事をはじめる。

2005 同校 修了
以後、展示多数

2008 陶芸教室【陶房『橙』】を開く
現在は陶芸作家、陶芸教室経営、修復家として活動中

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撮影/久野純平 取材・文/大森奈奈